整形外科について

整形外科

骨・関節・靱帯・腱・神経などの運動器に関するトラブルの治療をします。

診察内容

  • 肩こり、腰痛、筋肉・骨・関節の病気、神経痛、腱鞘炎等の手足の痛み
  • ケガ(骨折・捻挫・キズなど)
    超音波骨折治療器あります。→詳しくはこちら
  • 骨粗鬆症・運動器不安定症(ロコモーティブ症候群)
  • 交通事故(ムチウチ事故など)、仕事中のケガ(労災事故)
    →詳しくはこちら

肩こり・腰痛

症状がある病気の第1位です。(ちなみに症状が無い1位は高血圧です)
稀にがんや感染症など重篤な病気が見つかることがあるので症状が強い場合やなかなか良くならない場合は接骨院やマッサージなどでごまかさずに、きちんと整形外科を受診して検査や診察を受けましょう。
肩こりの原因で多いのは「変形性頚椎症」と「胸郭出口症候群」があります。前者は頸椎の関節変形に伴い頸椎神経根の背側枝が刺激されその反射で肩こりが生じます。後者はなで肩や巻き肩などの不良姿勢により鎖骨などで神経が刺激されて生じます。典型的には手のしびれですが多くはガンコな肩こりの原因となります。近年PC作業などのデスクワークやスマートフォンを見ている姿勢で増えてきている印象があります。
腰痛の原因で多いのは「変形性腰椎症」です。前述の変形性頚椎症と同様の理由で痛みが生じます。関節の変形が強くなると「腰椎すべり症」と診断されることもあります。

坐骨神経痛

よく「他の病院で坐骨神経痛だね、と診断されました」という方がいます。誤解している人が多いのですが、坐骨神経痛は症状のことで病名ではありません。頭痛の原因も「片頭痛」であったり、「脳腫瘍」であったり色々あるように、坐骨神経痛でも治療が異なりますので注意が必要です。
原因として有名なのは「椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」が上げられます。その他頻度が多いのは「仙腸関節炎」や「梨状筋症候群」など色々ありますので整形外科の受診をおすすめします。

高齢者の肩こり・腰痛でよくみられる病気・ケガに「リウマチ性多発筋痛症」「脊椎圧迫骨折」があります。「リウマチ性多発筋痛症」は普通の痛み止めが効かなく、体や上腕・大腿の痛みが長く続きます。これは血液検査等で判断します。「脊椎圧迫骨折」は骨粗鬆症がある人は布団の上げ下ろしやちょっとした尻餅でも背骨がつぶれてしまう骨折です。これといったきっかけ無くつぶれてしまった人は痛みをあまり感じない事も多くあるので(いつの間にか骨折)高齢者で背中の痛みが続く人や、背中が丸くなってきた人、4センチ以上身長が低くなった人はレントゲン検査を受けましょう。

生理食塩水注射(H.R.:ハイドロリリース)

メディアで「筋膜リリース」として取り上げられ有名になった治療法です。筋膜は日本語で正確に翻訳できておらず、実際は「臓器の間を埋める線維性結合組織です。臓器を包んだ「脂肪をくるんだ線維の網」になっていて、①臓器を外力から守る、②臓器どうしが自由に動けるようにする、役目があります。
なぜ痛みに効くのかはよくわかっていません。私は、固くなった筋膜へ水が入ると網目状の組織の柔軟性が戻り、筋膜を通る神経等の滑走性が改善するために痛みが改善するのだと考えています。
急性の病態では注射のみで改善することもありますが、慢性の病態では基礎に「そのようになる原因」が隠されているためリハビリが必要になります。当院では「どこの部位への注射で改善したか」を念頭に理学療法士がオーダーメードの運動療法を考え「運動器のトラブルはリハビリで治す」方針です。
「原因不明の痛み」に対する取り組み

神経痛

神経が圧迫などで障害されたときに異常な信号が脳に伝わり痛むものを指します。通常は炎症を伴わないため一般的な痛み止めが効きません。稀に肺がんによって手のしびれがでるなんてこともあるのできちんと診察を受けましょう。初めのうちは検査してもわからない事も多いので続くしびれは時々検査するようにしましょう。

関節痛

関節炎と関節症に分かれます。関節炎は主として病気による炎症により痛みをおこすものです。代表的なものに関節リウマチや痛風といったものがあります。主に薬を使っての治療となります。詳しくはこちら
関節症とは加齢や外傷によって変形をきたし、物理的なストレスにより痛みを生じるものです。代表的なものとして、加齢による膝のO脚変形(変形性膝関節症)が挙げられます。
変形性関節症は荷重がかかった部分が痛んだあと、修復が終わらないうちに荷重をかけることによって徐々に変形していきます。軟骨が傷むレベルではレントゲンに出ませんが骨が傷んでくるとレントゲンでもわかるようになります。変形が進行すると骨自体が壊れて痛みの原因になることもありますが、多くの場合、変形により周りの組織を刺激する為に痛みがでます。軟骨は痛みを感じませんから「軟骨がすり減っているから良くならない」などは全くの誤解です。変形をおこす原因を考えながらそれを補うようにリハビリをおこなえば多くの場合、改善することができます。
五十肩はインナーマッスルの腱板等が加齢等により炎症を起こし、関節の袋が癒着等で小さくなってしまうため関節が固まってしまうことが本態です。「そのままでも時間がたてば治る」と誤解されていますが、統計をとると約80%が固くなったままになってしまっているようです。当然治療はリハビリが主体になります。

五十肩の最新治療法

秋田・城東整形外科の皆川洋至先生が考案した「サイレント・マニピュレーション」を当院でも行っています。
本格的に肩が固まってしまうとリハビリしてもなかなか改善しないことがあります。
超音波で神経を確認しながら局所麻酔を注射します。腕全体に麻酔が効いたあとで優しく肩を動かして、固まった関節をはがします。乱暴にではなく、静かに(サイレント)関節を動かす(マニピュレーション)テクニックです。
当日は約1日腕が動かなくなり三角巾で腕をつって帰宅となるため、車・自転車等の運転はできません。術後に放置するとまた固まってしまうため、約3~4週間は集中的にリハビリが必要です。
ご希望の方は診察時にスケジュールを相談させて頂きます。

スポーツ障害

小児の野球肘や疲労骨折など、レントゲンや超音波において検査します。初期の段階では後遺症を残さず治癒するものがほとんどですが、時間が経ったものでは変形をおこし生活に支障の残る場合も少なからずあります。
成長期は骨の成長よりも筋肉や靭帯の成長が少ないため筋肉や靭帯の緊張が亢進しやすく、筋力不足やアンバランスによりトラブルを生じることが多くあります。こういった場合はリハビリで筋力強化と柔軟性獲得により改善します。疲労骨折は当初は検査で異常がない場合が多く、充分なスポーツの中止期間が必要となるため、成長期の長引く痛みは時々検査をしていかなければいけません。

外傷

はじめに後で障害が残る怪我かどうかの判断が必要なため、きちんと検査や診察を受けましょう。とくに小児や高齢者はケガをした場合、靭帯よりも骨の強度が低いので骨折を起こします。かならずレントゲン検査をしましょう。ずれの少ない骨折は骨膜がやぶれないと腫れないので、見た目で判断がつかないため注意しましょう。
骨折は弱い超音波をあてると早く治ります。当院にも機械を置いていますのでご希望の方は診察時にご相談ください。
→超音波骨折治療器の詳細はこちら
キズの場合は水道で砂などをきれいに洗ってから出血している場所を圧迫しながら整形外科を受診しましょう。「キズより心臓に近い部分をしばる」と逆に出血が多くなることがあるので気をつけましょう。(血液検査のとき腕をしばりますよね)

未成年のけがについて
未成年は成人と比べると骨がやわらかく、骨折しやすいのが特徴です。「学校管理下の災害 基本統計 令和元年」から 病気とけがの種類別発生割合をみていただくと、保育所から専門学校に至るまで「ねんざ」より「骨折」のほうが多いことがわかります。接骨院等で施術をうけて骨折を見過ごされていることがよくあります。未成年者はけがをしたら必ずレントゲン検査をうけましょう。

病気とけがの種類別発生割合

出典:日本スポーツ振興センター「学校管理下の災害 令和元年 基本統計」

ムチウチなど

構造的な異常のない怪我ですが、痛みを放置すると慢性的な肩こり・腰痛になるため、積極的に治療しましょう。詳しくはこちら

骨粗鬆症

骨の中がスカスカになって少しの衝撃で骨折をおこす状態です。「寝たきり」の原因の第3位が骨折と言われています。骨密度を検査して20歳台平均の70%を下回ったら骨粗鬆症と診断されます。女性の場合70歳中盤には平均の人が骨粗鬆症になるので、早めに検査を受けましょう。
当院では超音波より精度が高いX線骨密度検査機を使用して短時間で結果がわかります。年齢より骨密度が著しく少ない場合、ホルモンの病気等がみつかることもあります。

運動器不安定症

さまざまな理由で歩行等の機能が低下した状態です。「寝たきり」の原因の第4位が関節疾患と言われています。
以下のどれかあれば診断されます。

  • 介護度が「要支援」または「要介護1」「要介護2
  • 片足で15秒以上立っていられない。
  • 「椅子に座った状態から立ち上がって3メートルのところを回ってまた座る」事に11秒以上かかる。

当院では通常のスポーツジムより負荷の少ない高齢者向けのトレーニング機器を導入してリハビリを行っています。(健康保険が使えます。)

ロコモーティブ症候群

ロコチェック!左のうち1つでもあればロコモの可能性があります

メタボリック症候群に続く「健康日本21」キャンペーンです。

運動器の障害により「要介護」になりやすい人ロコモと呼びます。

  • 片脚立ちで靴下が履けない。
  • 家の中でつまづいたり、すべったりする。
  • 階段をのぼるのに手摺が必要である。
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない。
  • 15分くらい続けて歩けない。
  • 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である。(1リットルの牛乳パック2個程度)
  • 掃除機をかけたり、布団の上げ下ろしが困難である。

「原因不明の痛み」に対する取り組み

整形外科に受診される症状のおおくは「痛み」です。いろいろ検査をしても原因が特定できないものもあります。詳しくは痛みのしくみを参照ください。

2002年に「AKA博田法」に出会いました。骨盤の関節を調節することであらゆる部位の症状を改善することができる、というものです。
2006年に石川県の整形外科で加茂先生が提唱されていた「トリガーポイントブロック」を治療に取り入れました。筋肉では痛みを感じるセンサーの感度が悪いため、痛む場所と原因となる場所が異なり、痛む別のトリガー(引き金)ポイントを治療するというものです。
2013年に元東北大学の国分先生が提唱する「K点症候群」という考えを知りました。痛みやしびれのほとんどが筋硬縮(筋肉のこわばり)である。K点とは国分ポイントを指して、国分先生が見つけた「後頭部の筋肉にあるポイント」でここに局所麻酔を注射する(K点ブロック)と、全身の筋硬縮が解けるというものです。
2014年に「遠絡療法」を知りました。東洋医学の経絡をアレンジして症状から離れた経絡(ツボ)を刺激することで何でも治るというものです。

2015年に筋膜性疼痛研究会へ入会し、生理食塩水注射(H.R.:ハイドロリリース)を開始しました。当初は筋膜リリースという概念で注射をしていました。現在は、慢性痛はしばしば神経の走行と一致するため、ターゲットを筋膜から神経周囲に変更して行っています。
最近注目しているのは、「足ゆびの機能向上による姿勢の変化」です。これからも患者さんと向かい合い、アップデートを続けていきます。