リウマチについて

リウマチ科

関節リウマチなどの膠原病や痛風といった関節炎の診断・治療をします。

関節リウマチ

関節リウマチの図

ウイルスやばい菌などから身を守るためこれらが入ってきたときに攻撃するしくみを「免疫反応」といいます。間違って自分の体を攻撃してしまうようになるのが自己免疫疾患(アレルギー)です。関節リウマチは、関節の滑膜に対する自己免疫異常によって全身の関節に炎症を起こす病気です。
炎症によって軟骨や骨が壊されてしだいに関節が変形してしまいます。人口の約1%に発症すると言われており、複数の関節が痛んだり、腫れたりした場合にはじめに疑う病気です。


症状

はじめは指や手関節から気が付く事が多く、「朝のこわばり」と表現されます。
多くの場合、良くなったり悪くなったりしながら徐々に進行して関節が変形していきます。何も治療をしなかった場合、発症から2年で70~90%の人で骨が壊れてくる(骨びらんが出現する)と言われています。早期からきちんと治療をすれば関節の変形をおこさずに済むので、早期発見・治療が大切です。

診断

関節炎の部位・数・血液検査・期間などの項目を点数化して診断します。(リウマチ分類基準の表を参照ください)
関節炎は診察や超音波検査で確認します。進行するとレントゲンで骨が傷んでいくのが見えてきます。血液検査では自己抗体や炎症反応の有無や程度を確認します。

リウマチ分類基準1
リウマチ分類基準2

治療

痛み止めや炎症を抑える薬も使いますが、自己免疫異常による病気なので免疫を調整したり抑えたりする薬が基本になります。いろいろな薬がありますが、現在のところ何が効くのかは人それぞれで使ってみて効果を判断するしかありません。治療開始後に状態によって効果や副作用をみながら、追加・変更などしながら治療していきます。薬の使い方や副作用等をしっかり理解している医師でないと難しい面があるので「関節リウマチかな?」と思った方は日本リウマチ学会リウマチ専門医を受診しましょう。残念ながら完治する病気とはいえず、付き合っていく病気ですが、発症早期からきちんと治療できれば痛みもなく健康な人と変わらず生活している人も多くなってきていますので前向きに治療を継続しましょう。


痛風

痛風の図

「プリン体」という物質が体内で分解されてできた燃えカスが尿酸です。尿酸は血液に溶けにくいので血液中の濃度が高くなると溶けきれずに結晶となり、体のあちこちに沈着します。関節の中に沈着した尿酸結晶が剥がれ落ちた時、関節の中で化学炎症が発生して関節炎をおこします。
温度が低いほうが結晶化しやすいので足に起きる場合が多いのです。女性ホルモンの影響で女性は尿酸が尿中へ排出しやすいので、約90%が男性です。また、従来言われているのと異なり、近年では食事よりも遺伝的要因が大きいといわれています。


症状

急激に始まる関節炎で、足の親指のつけ根や足の甲、足関節などに多くおこします。多くは一過性で2週間から3週間以内に自然に治まります。

診断

腫れた関節の水を抜いて尿酸結晶が出ればほぼ決まりですが、だいたい小さい関節なので水がとれないため、パターンで診断しています。

  • 足周辺の24時間以内にピークに達する1か所の関節炎であること。
  • 同じような関節炎を起こしたことがあって、症状の無い時もあること。
  • 健康診断などで尿酸値が高いと言われている。

治療

関節炎の発作中は対症的治療で、消炎鎮痛剤等を投与します。尿酸を下げる薬をつかうと発作が長引いたり、繰り返すため使いません。
関節炎が治ってから2~3週間後に血液中の尿酸を下げる薬を開始します。その後、尿酸値が6以下になるようにコントロールしていきます。薬を中止すると血液中の尿酸値があがってしまうので、痛風の発作がまた起きるだけではなく、結晶が腎臓に沈着して腎不全になったり、血管に沈着して動脈硬化症をおこしたりするため長期にわたり治療が必要です。

その他の関節炎

関節炎が一つの場合

  • 変形性関節症による関節炎
  • 痛風以外の結晶性関節炎
  • 化膿性関節炎

を考えます。

関節炎が数か所もある場合で関節リウマチで無い場合は膠原病である場合があります。皮膚炎や口内炎、目や鼻のトラブルがある場合が多いのでリウマチ専門医に受診しましょう。


変形性関節症による関節炎

加齢等による関節の変形に物理的刺激が加わって炎症をおこします。消炎鎮痛剤等使って治療します。

「膝の水を抜くとクセになるの?」
関節炎が起きている場合、関節液を注射器で抜くだけでは炎症が治まらないのでまた溜まります。炎症が治まれば腫れは無くなっていきます。しかし、関節炎の関節液には炎症の原因物質が含まれているので関節液を抜くと炎症が軽くなることが考えられます。当院では水が溜まってつらい時や関節内へ注射する場合は水を抜くようにしています。

結晶性関節炎

痛風は関節内の尿酸結晶を自分の体が敵とみなして間違って攻撃してしまう現象ですが、他の結晶成分でも同様に急性の関節炎を起こす事があります。頻度が多いのは「偽痛風」と「石灰沈着性肩関節炎」です。
偽痛風はピロリン酸カルシウム結晶が原因で、高齢者の膝や股関節などの比較的おおきな関節に起きます。熱も出る場合が多いので意志を伝えられない高齢者の発熱の原因としても頭に入れておくとよいでしょう。石灰沈着性肩関節炎はリン酸カルシウム結晶が原因で中高年の女性に多く発症します。両者とも副腎皮質ステロイド薬の注射が良く効きます。これらは痛風と違って他の病気の原因とはならないため「たまたま起こった一時的な関節炎」と考えてよいでしょう。

化膿性関節炎

細菌感染による関節炎です。数日で関節を破壊し、重度の機能障害を起こし、死亡率は最大15%との報告もある救急疾患です。
低出生体重の赤ちゃん、高齢者、免疫を抑える薬を使っている人 など抵抗力が衰えている人に起こります。関節に注射している人、手術を受けた人、体内に細菌感染を起こしている人(膀胱炎など)も起こる場合があります。化膿性関節炎になったら、抗菌薬投与とともに手術が必要な場合も多いため、疑わしい場合は至急整形外科へ受診しましょう。